20世紀前半期ライプツィヒにおけるカール・シュトラウベによるバッハ声楽作品の演奏(音楽書)
「ライプツィヒのバッハ様式」は存在したのか
Stylenote


5,500円(税込)
本書は、二十世紀前半のライプツィヒで聖トーマス教会のカントル(音楽監督)を務めたカール・シュトラウベのバッハ〈カンタータ〉演奏実践を手がかりに、「ライプツィヒのバッハ様式」が実在したのかを探る試みである。
- 収載内容
-
- 凡例
- 序章
- 第1章・神話か様式か―毀誉褒貶のシュトラウベ評
- 1.1. トーマスカントル―オルガニスト、教育者そして指揮者として
- 1.2. シュトラウベによるシュトラウベ
- 1.2.1. マックス・レーガーとドイツ音楽史
- 1.2.2. バッハ以前の音楽
- 1.3. 先行研究におけるシュトラウベの演奏に対する評価
- 1.3.1. 「カンタータ演奏」に関する先行研究
- 1.3.2. 「カンタータ放送」に関する先行研究
- 1.4. 「ライプツィヒのバッハ様式LeipzigerBachstil」はあったのか
- 第2章・「教会音楽」の実践―「カンタータ演奏」
- 2.1. バッハのカンタータについて
- 2.2. バッハの演奏実践の変遷におけるシュトラウベ
- 2.2.1 「オーセンティックな」バッハの演奏
- 2.2.2. シュトラウベの変遷と演奏史における位置づけ
- 2.2.3. 断絶と連続
- 2.3.教会におけるカンタータ演奏
- 2.3.1. 現存する資料
- 2.3.2 「教会音楽」の演奏記録
- 2.3.3. バッハをうたう―教会における演奏実践の痕跡
- 第3章・過渡期の演奏様式なのか―「カンタータ放送」
- 3.1. 音楽の敵か味方か―新メディアとしてのラジオ放送
- 3.2. カンタータ全曲放送
- 3.2.1. プロジェクト初期
- 3.2.2. 計画の変遷
- 3.2.3.全曲演奏の「野望」
- 3.3. 録音分析
- 3.3.1. 演奏分析の方法―ソニック・ヴィジュアライザーについて
- 3.3.2. テンポとその変動
- 3.3.3. スペクトログラムにみる発声とヴィブラート
- 3.3.4. オルガニストと通奏低音
- 第4章・後代への影響―「演奏家」シュトラウベのうけつがれる技術
- 4.1. 同時代そして後代へ
- 4.1.1. 同時代から―メンゲルベルク、フルトヴェングラー
- 4.1.2. 「弟子たち」―ギュンター・ラミーン、カール・リヒター
- 4.2. ひきつがれた演奏上の特徴
- 4.2.1. テンポとフレージング
- 4.2.2. 歌唱―合唱団
- 4.2.3. 歌唱―ソリスト
- 4.2.4. 「ライプツィヒのバッハ様式」
- 第5章・「ライプツィヒのバッハ様式」の位置―新メディアと変化の向こうに
- 5.1. 放送メディアと芸術
- 5.1.1. 新しい聴衆の獲得
- 5.1.2. 〈いま-ここ〉の変容
- 5.2. バッハ演奏史における「ライプツィヒのバッハ様式」の場所
- 結論
- 参考文献
- 補遺 カール・シュトラウベ関連年表
- 資料
- 資料1 教会音楽における演奏曲(1919年)
- 資料2 教会音楽における演奏曲(1921年)
- 資料3 教会音楽における演奏曲(1928年)
- 資料4 教会音楽における演奏曲(1930年)
- 資料5 教会音楽における演奏曲(1932年)
- 資料6 教会音楽における演奏曲(1933年)
- 資料7 教会音楽における演奏曲(1935年)
- 資料8 教会音楽における演奏曲(1936年)
- 資料9 教会音楽における演奏曲(1937年)
- 資料10 教会音楽における演奏曲(1938年)
- 資料11 教会音楽における演奏曲(1939年)
- 資料12 カール・シュトラウベ在任中にトーマス、ニコライ両教会の「教会音楽」で演奏されたJS.バッハ声楽作品と演奏回数
- 資料13 「カンタータ放送」予告(1931年)
- 資料14 「カンタータ放送」予告(1932年)
- 資料15 「カンタータ放送」予告(1933年)
- 資料16 「カンタータ放送」予告(1934年1月から3月)
- 資料17 「カンタータ放送」予告(1934年4月以降)
- 資料18 「カンタータ放送」予告(1935年)
- 資料19 「カンタータ放送」予告(1936年)
- 表一覧
- 図像一覧
- 譜例一覧
1 凡例
2 序章
3 第1章・神話か様式か―毀誉褒貶のシュトラウベ評
4 1.1. トーマスカントル―オルガニスト、教育者そして指揮者として
5 1.2. シュトラウベによるシュトラウベ
6 1.2.1. マックス・レーガーとドイツ音楽史
7 1.2.2. バッハ以前の音楽
8 1.3. 先行研究におけるシュトラウベの演奏に対する評価
9 1.3.1. 「カンタータ演奏」に関する先行研究
10 1.3.2. 「カンタータ放送」に関する先行研究
11 1.4. 「ライプツィヒのバッハ様式LeipzigerBachstil」はあったのか
12 第2章・「教会音楽」の実践―「カンタータ演奏」
13 2.1. バッハのカンタータについて
14 2.2. バッハの演奏実践の変遷におけるシュトラウベ
15 2.2.1 「オーセンティックな」バッハの演奏
16 2.2.2. シュトラウベの変遷と演奏史における位置づけ
17 2.2.3. 断絶と連続
18 2.3.教会におけるカンタータ演奏
19 2.3.1. 現存する資料
20 2.3.2 「教会音楽」の演奏記録
21 2.3.3. バッハをうたう―教会における演奏実践の痕跡
22 第3章・過渡期の演奏様式なのか―「カンタータ放送」
23 3.1. 音楽の敵か味方か―新メディアとしてのラジオ放送
24 3.2. カンタータ全曲放送
25 3.2.1. プロジェクト初期
26 3.2.2. 計画の変遷
27 3.2.3.全曲演奏の「野望」
28 3.3. 録音分析
29 3.3.1. 演奏分析の方法―ソニック・ヴィジュアライザーについて
30 3.3.2. テンポとその変動
31 3.3.3. スペクトログラムにみる発声とヴィブラート
32 3.3.4. オルガニストと通奏低音
33 第4章・後代への影響―「演奏家」シュトラウベのうけつがれる技術
34 4.1. 同時代そして後代へ
35 4.1.1. 同時代から―メンゲルベルク、フルトヴェングラー
36 4.1.2. 「弟子たち」―ギュンター・ラミーン、カール・リヒター
37 4.2. ひきつがれた演奏上の特徴
38 4.2.1. テンポとフレージング
39 4.2.2. 歌唱―合唱団
40 4.2.3. 歌唱―ソリスト
41 4.2.4. 「ライプツィヒのバッハ様式」
42 第5章・「ライプツィヒのバッハ様式」の位置―新メディアと変化の向こうに
43 5.1. 放送メディアと芸術
44 5.1.1. 新しい聴衆の獲得
45 5.1.2. 〈いま-ここ〉の変容
46 5.2. バッハ演奏史における「ライプツィヒのバッハ様式」の場所
47 結論
48 参考文献
49 補遺 カール・シュトラウベ関連年表
50 資料
51 資料1 教会音楽における演奏曲(1919年)
52 資料2 教会音楽における演奏曲(1921年)
53 資料3 教会音楽における演奏曲(1928年)
54 資料4 教会音楽における演奏曲(1930年)
55 資料5 教会音楽における演奏曲(1932年)
56 資料6 教会音楽における演奏曲(1933年)
57 資料7 教会音楽における演奏曲(1935年)
58 資料8 教会音楽における演奏曲(1936年)
59 資料9 教会音楽における演奏曲(1937年)
60 資料10 教会音楽における演奏曲(1938年)
61 資料11 教会音楽における演奏曲(1939年)
62 資料12 カール・シュトラウベ在任中にトーマス、ニコライ両教会の「教会音楽」で演奏されたJS.バッハ声楽作品と演奏回数
63 資料13 「カンタータ放送」予告(1931年)
64 資料14 「カンタータ放送」予告(1932年)
65 資料15 「カンタータ放送」予告(1933年)
66 資料16 「カンタータ放送」予告(1934年1月から3月)
67 資料17 「カンタータ放送」予告(1934年4月以降)
68 資料18 「カンタータ放送」予告(1935年)
69 資料19 「カンタータ放送」予告(1936年)
70 表一覧
71 図像一覧
72 譜例一覧
- 商品詳細
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商品説明 礼拝前の「教会音楽」で教会暦に沿ってカンタータ演奏を重ね、さらにラジオ放送へ広げた四カ年計画によって、教会の場から家庭の受信機まで「祈りの時間」を運んだ過程をたどる。残された録音の分析からは、遅めのテンポ設定、節度あるテンポ変化、語りを重んじるレチタティーヴォ、オルガンを核にした通奏低音といった特徴が浮かび上がる。若き日の宗教的真摯さと技術への志向は、後年の「客観性」追求へと連続し、信仰と音響を結ぶ演奏理念として結実したことが示される。影響は直弟子のラミーンやリヒターに及び、のちの受容史にも痕跡を残した。本書は、ロマン主義、新即物主義、歴史的演奏実践のはざまを橋渡しした一つのスタイルを、神話でも賛歌でもなく、録音と資料という証拠から描き出すものである。専門家だけでなく、バッハを「どう聴くか」に関心をもつ読者にも開かれた一冊。 商品番号 F0244452 ジャンル 書籍・辞典 サイズ A5 ページ数 368 著者 中川郁太郎 ISBNコード 9784799802229